説明させて欲しいのですが、うまくいかないのです。バンブーロッドを使う満足感というか、充実感というか、楽しさというかについてです。しかもスティールヘッドに対してです。極めて個人的な楽しみであるフライフィッシングなのだから、何をどう使おうと個人の趣味の話、と言ってしまえばそれだけなのですが、それではなんか寂しいのです。手に入れて、手にして、そして使ってみて、それもプレミアムな魚に自然豊かな場所で。それは究極のフライフィッシングの時間かもしれません。
「その商品のことを知りたければ一緒に寝ることだ。それはその女を知ろうとすることと同じだ」というのを老練のマーチャンダイザーに聞かされたことがあり、思わず吹いたことを思い出します。でも、それくらい寄り添って好きになって、はじめて見せてくれる表情があるのだと思います。例えば今の自分にとって写真の2本はこんな感じで言いたくなる存在かも。
それはすべすべして暖かい感触で、くびれがあり、手を置けばいつも温もりを感じます。下にはエキゾチックな森からの贈り物があり、硬い異物を受けとめる部分。上に伸びゆく本体はとても艶やかで、明るい肌もあれば焼けた肌色もある。その表面に指先を滑らせてゆくと神様の悪戯のような滑らかな起伏があり、さらに進めてゆけば細く伸びやかで、弓なりに曲がったり、反発してきたりする。全体的にはしっかりとした、押しや引きを受け止められる芯があるのだけれどやっぱり繊細で、大切に扱ってあげなければいけない。そうすればいつまでも美しい表情は変わることなく、共に過ごす時間を花のあるものにしてくれる。
「物事を知る者は、それを好む者には敵わない。物事を好む者は、それを楽しむ者には敵わない。」孔子の言葉です。自分が今どの位置にいるのかはわかりませんが、竹竿とのお楽しみはまだこれからといった感じです。