奄美のクロダイ2

奄美フライフィッシング

クロダイのフライフィッシングに初めて挑戦したのがもう5年ほど前の奄美大島。まず魚を探すのに苦労しつつ、タックルもお粗末で、シーバス同様フレッシュウォーターからの流用では遊びも納得のものにはならずでした。ガイドにアドバイスをもらいながら三日間でようやく一匹。その後ちょっと本腰入れて浜名湖に顔を出して、この時も友人のアドバイスをもらいつつ、1日の終わり頃にようやく一匹。奄美も浜名湖もとにかく魚がいて、慣れてくれば周囲にワサワサいたり、向こうからどんどん泳ぎ迫ってくるのが見えたり、明らかにそこに獲物がいるというのに、こちらの作戦はことごとく失敗しているところは共通して明らかで、これほど魚がいるのに食わせることができないという点ではフライフィッシング人生で最も強敵、と言ってもいいくらいにフラットのクロダイは悩ましい相手です。

クロダイ フライフィッシング ルーミス フィンノール

泳いでいるのは見えるし届く範囲にもいるのはわかっているというのに、どうも食いついてこない。フライがいけないのか、リトリーブがいけないのか、マスのようにお腹を空かせていないのか、興味がないのか、振り向かせるのにえらい苦労し、もっと近くにと思ってフライを落とせばたちまち大きな驚きと共に周辺数匹を巻き込んで散り散りに逃げていく。私のプレゼンテーションに一体何回彼らが驚いて散っていったことか。驚かさないところに落としては興味がひけないし、タイトにやってうまく決まらなければ水面爆発、ドヒャンと逃げていく。かと思うと余裕綽々で近くを泳いでいたり、水面から尾っぽを出して食事に勤しんでいいたりする。まったく!

さらに困ったことには、ようやく興味関心を引いたとしても様子を見ながらかじっているのか、滅多にしっかり咥えることがなかったり、フライのラバーレッグだけが一本食い切られていたりする。ようやくしっかり食ったとしても、彼らの口は針掛りが容易ならざる硬さで、もしキャストの最中に針先が甘くなることがあったなら、せっかく咥えたフライが口内を滑りまくっているようで、しっかり掛からないことがほとんど。一体どうしたらフライフィッシングが成立するようになるのか、妄想だけが進み、一方で成功体験がほとんどないから、ネガティブな妄想に傾いていくので、結果クロダイが人生で1番の難敵と認定される今になっています。

そんな黒鯛のフライフィッシングですが、日本で数少ない、トロピカルフラットで狙える貴重な魚。今回仕事のこともあり奄美を訪れることが5年ぶりに叶ったので、当然道具一式を持ち込みました。以前とは違って相手を考えて計算を立て、ロッドはシーバスの流用ですがより穂先の効くGルーミス GL4の9フィート7番にフラット用の6番ラインを合わせました。浜名湖での釣りでどうしても水面へのインパクトを最小限にしたいと思いつつ、ある程度の重さのフライを投げるのに都合がいいラインだろうという計算です。リーダーティペットは自分の技術も考えて長すぎず短すぎず、合計16フィートくらいの2Xフロロ。まだ釣りの引き出しがほとんどない中で、前回やっていて成果が出なかった早めのリトリーブではなく、ゆっくり水底のズル引きを徹底しました。シーバスや浜名湖のクロダイで潮のことを少しは考えるようになったので、ロータイド前後の動く時間に集中。そしてメディアでの情報から、とにかくショートキャストを徹底しました。

現地について風向きを確認したら、風裏を狙って車を走らせました。潮が引いた海辺はどこも面白そうなフラットに見えて迷わされます。漂着ごみの塊を跨ぎ、ここはどうかと思われる水辺に近づくと、目の前で突然ブルーの影が走り、その先の水面から小魚の群れが逃げて飛び出してきました。トレバリーを狙うにはまだまだ覚悟が足らないと思っているので、ここで惑わされないように、浅瀬を見渡すように岸辺を歩きます。すると初心者ながらもテイリングを発見し、それを元手に見ていくとテイリングを見つけられるパターンのようなものが出来始めました。そこにフライを投じてもすぐに反応があるわけではなく、時間が過ぎて潮は徐々に上がってきます。

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今度は少しづつ岸に後退するような感じになって、奴らが通るであろうチャネルを想像しつつ目を配ります。すると知らない間に水が入った背後のフラットで複数のテイリングが始まり、静かに大きく回り込んで少ない引き出しの注意事項を押さえつつ投じたフライにリトリーブを加えると、ググッと。釣りの時間は合計二日間ながら結構な数のバイトと5つの魚を手にすることができました。初めて挑戦した前回の五倍!これで一つの方法、引き出しがようやくできた感じですが、納得する釣りになるのには、まだまだ時間がかかりそうです。が、これは間違いなく楽しいフライフィッシングです。

(だからこそフィールドは大切にしたい。海岸線に漂着するゴミは私たちの消費に間違いがあることの表れでしょうか。きれない海と素敵な魚にはあまりにも似つかわしくない。奄美では地域によって毎月第3日曜?にビーチクリーンをおこなっているようです。タイミングを見て参加してみたいと思います。)

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