注: 以下の情報は2023年時点のものです。2024年に7回の釣行を経てアップデートした情報は浜名湖のクロダイ5に書いています。顕著な発見はフライに付けるアイの重さとリーダーに関してです。
2023年クロダイ3年目、10回の釣行でようやく何かを掴みつつあるような気配が出てきたので、喜び勇んでメモを残しておきたいと思います。とにかく浜名湖のフラットのクロダイは魚がいるのにそうそう簡単には釣れない強敵です。いくつか結果が出たのは単なる偶然か気のせいかもしれませんが、痛い目を見てようやく知ることになり、失敗を重ねてようやく感じることがあり、未だ晴れない疑問がありつつも、いくつかうまく行ったときの様子やうまくいかなかったことを振り返って、ここで反省及び備忘録としておこうと思います。
まずはプレゼンテーション。どのフライフィッシングでも重要事項ですが、フラットというオープンスペースに入ってくる相手は警戒センサーの塊で、他のフライフィッシングと違って釣り人側に許されるミスの許容範囲はわずかです。人間が隠れる岩もなければ川が流れる音もなく、フライを水の流れに乗せて運んでもらうこともできない。15m先にうまく投げてうまい所にうまくフライを落とす。これを風吹くフラットでできるようになってくるとまず第一段階クリアです。
そのためにまず投げるのは風の向きに従う方が無難だと思うようになりました。どんなにテイリングがあっても、逆風をついてやるのは至難。まず潮の流れる方向をよく見て、追い風かつ下流に向かってキャストできるポジションに立って魚を探す方が確実です。このように位置取りしてフライを投じれば、リトリーブはフライが流れにまっすぐ逆らって泳いでくるようになります。まずこれを基本とするのが良さそうです。(流れに90度にキャストして絶対に釣れないわけではないですが、藻が水中でなびいている角度に対しても90度でリトリーブすることになるので、フライの動きにも無理が出るし藻に引っかかりやすくなったりマテリアルがフライに絡みやすくなってしまいます。)
魚を見つけるにも2種類あり、テーリングを発見することができれば明らかですが、テーリングが出づらい時間帯はナーバスウォーターを探します。魚が泳いでくる、あるいは泳いでる、あるいは集まっている場所の水面にはその動きが出ることがあります。明らかに騒がしくしてくれれば発見は容易ですが、慣れてくるとなんとなく怪しい感じがわかることがあります。
テーリングを発見したら、とにかく魚よりも向こうにフライを入れないほうが良さそうです。魚に向かって泳いでくるおめでたい餌はないということでしょうか?手前、あるいは両サイド、50cm〜1mの範囲が狙いどころです。そのためには道具のバランスが重要で、もし水面にインパクトの少ない6番のラインならリーダーは短め(14−16fくらい)で行けるような気がしますし、コントロールがより良い感じ。もし8番のラインならより水面にインパクトが出るので、リーダーを長くし、フライからラインはできるだけ遠ざけておいたほうが良さそうですが、コントロールは難しくなる。テーリング狙いは正確度を重視し、それが達成できるように自分の技量に合わせて道具をセットするのが吉です。
一方ナーバスウォーターへのアプローチですが、これは水中に生えている藻の周辺で起こることがしばしばです。水中の藻の塊は大小様々で、座布団1、2枚から数枚の大きさでフラットに点在しています。ここは小さい生命の揺籠のようになっているのか、餌が豊富なようで、脇でも中心でもクロダイが藻のベッドの中に首を突っ込んでいるのを見かけるし、藻の上にたむろするのを見かけます。全ての藻の塊ではないのですが、あるところはその日コンスタントに入れ替わり立ち替わり魚がくるように見えます。
まず手前から様子を見て、さらに両サイドにもキャストします。水深があるところで藻の上にもいるようであれば、今度は藻の中にも投げ入れます。大きいウィードベッドであれば右パートと左パートに分けて。あるいは右、中、左という感じで、水中に暗くなって見えるところにも投げ入れます。それでもダメなら最後に藻の向こう側に投げるのですが、この場合フライラインは藻の上に乗らないようなリーダーの長さが欲しい。水深が助けになるのか、あるいはリーダーのインパクトはフライラインに比べて明らかに弱いからなのか、意外と魚を驚かさないで済むことがあります。驚かさずに藻の向こう側にキャストできたらフライが藻の中に入っていくような動きを演出して、それに反応することもあって、このアプローチは有効に感じています。
最後にうまく落とす、ですが理想は「ゆるゆる飛んで、ポトン」という感じです。ポトンと落とすためにはロッド、ライン、リーダー、フライをうまく組み合わせること。バランスの問題なので自分のスタイルの中でそれを発見してゆくしかなく、これがうまくいかないとどこかで水面へのインパクトが強くなって釣り人はクロダイを散らすばかりになってしまう。「ポトン」と落とせると意外と逃げない。そこでようやく釣りが開始される感じです。
リールは海水で気兼ねなく使用できればなんでもいいというところが率直なところです。ですがロッドは気をつけるに値します。上記プレゼンテーションを行えるロッドはどんなものか。人それぞれですが、思うに強いキャストにならないほうが良さそうです。ロングキャストは頻繁にはしません、15m前後の距離で釣りになります。立つのは追い風を得られるポジションです。そして水面へインパクトが出るようなキャストにしてはいけません。つまりラインが強くターンしないほうがいい。私は現在ティップが柔らかめの7番のロッドに6番のフラット用のラインを組み合わせて好感触でいますし、リーダーはせいぜい竿の倍の長さ以下が快適にできる範囲です。これで釣りになりはじめました。とにかく水面にインパクトが出ないキャストができるロッドはカギになります。
この釣りを開拓してきた人たちのフライ、新規参入で釣っている人のフライ、どれも良さそうで結果が出ています。つまり意外となんでもいいのかと思いつつ。一方で例えばトラウトでは偏食している時にハマれば結果は明らかで、クロダイにもそういうのがあるのではないかと想像してしまいます。何せフラットには多くの魚が出たり入ったりして、とにかく餌を探している魚は多数いると思うと、もし爆弾効果のあるフライを発見できたら素晴らしい釣りができるのではないかと妄想は膨らみます。
まず気をつけていることは沈んでいくときの姿勢、リトリーブ中の姿勢が常に安定していること。これが斜めになったりひっくり返っていてはもうダメです。また、ラバーレッグの片側がフックの反対側に入ってしまいやすかったりしてもダメです。そして藻の中をリトリーブしてくることは通常なので、ウィードガードは基本スペックだと思います。
ウェイトはあまり重くなりすぎないほうがいいように感じます。ですのでボールチェーンを一組、あるいは二組つけます。鉛のダンベルアイのフライも一応用意していますが、あまり使わないでいます。重いと魚は吸い込みにくいのは想像できますが、現実問題まず膝までくらいの場所で釣りをしているのでそんなに重くしなくても2、3秒で着底します。リトリーブは底を這わせる感じですが、重いと動きも硬い感じになり、ライブ感が弱くなっているような?気もします。
まとめると、フライは姿勢が常に安定して、重すぎず、ラバーレッグやテールなどのマテリアルがフックベンドに絡んだりせず、藻が引っかからないようにガードが付いているもの、であることが基本です。そしてもちろんフック先端は常にシャープに。釣りをしてて甘くなることはないですが、魚がかかった後は大体針先が甘くなり始めます。フックシャープナーは携行必須です。
フライで他に気になるのは色です。魚はあれだけいるのになかなか食ってこないのはなぜか。食ってくるのがいるのにほとんどのやつが食ってこないのはなぜか。ある日、短時間で数匹恵まれた時になぜこうなったかを考えていると、つまりまず魚にフライが発見されたからではないかと思いました。テーリングしているやつの周辺にうまく落ちても食ってこないのはフライに気がついていないからでは?ナーバスウォーターの中を何もなく通過してくるフライは発見されていないからでは?彼らは食餌に夢中になって周囲に目を配っていないのではないか?簡単に食ってこないのはフライやリトリーブがお好みでない以前に、実は発見されていないのかもしれない、そう思わされる時がありました。彼らは野生に生きていて獲物については仮に砂地や藻の色と同色系だったとしても見抜くことができそうなものです。様々な釣り人の様々なフライをネット上でも見ることができますが、総じてナチュラル系のカラーです。ひょっとしたら大胆な配色の秘密フライがあるのかもしれませんが、ナチュラルな感じでも実はその場所に有効な選び方があるのかもしれません。例えば周辺と同じ感じの色にならない方がいいとか!?クリーム色の砂地であればオリーブやブラウンの方が悪目立ちはせずともコントラストがあります。そんな感じがいいように思っているのですが。。。
フライが納得感を持って選ばれたら今度はリトリーブですが、ここは未だ研究中で、Youtubeで他の釣り人のリトリーブを見ても短いストリップもあればロングストリップもあり、それらのミックスもあったりで様々です。初心者の自分としては、キャストで上手いところにポトンと落とせたら、まずしっかり着底させ、その後はフライが底から離れないようにゆっくりロングストリップで引いてきます。フライは水底をゆっくり這っている感じで、同時にラインを持ち変える時になるべく止まらないように気をつけつつ、この方法を一つの基本にしています。実は知らぬ間に意外と早くリトリーブしてしまっていて、フライは水中の餌ではあまり見かけないくらい早く動いてしまっていることに気がついたので、まずは本当にゆっくりと引くように気をつけています。
動き始め1、2回目のストリップで反応があることが多い感じなので、発見されればやる気のあるやつは何かしらコンタクトしてくる気がします。稀に何メートルもの長い間に咥えたり離したりを繰り返す様子が水中から伝わることがあり、意外と深追いしてくる魚もいるのだと驚かされました。またショートストリップも試していますが今のところ納得いく感じにはできていません。
フラットを歩いていると、鋭く泳ぎ回るハゼ類やモソモソ動くヤドカリ類をよく見ますが、どんな演出が興味を引くのか未だ模索中です。音を立てて水面を騒がすナーバスウォーターでは何かを水面まで追い回すような光景に出会うことがありますが、藻の中から逃げ出した何かに急ぎ襲い掛かっている感じです。ピックアップしようとしたフライに一度襲いかかったやつもいました。リトリーブに関してはまだまだ引き出しが足りない感じで、今後もテストが続きそうです。
タイドに関しては海のフラットをよく知る釣り人たちが言う「昼干潮」であれば釣りに有効な時間が日中に長く取れます。浅くなる時間が勝負なので上げ止まり前後は当然捨てて下げ止まり前後に集中しますが、どうも下げていく時よりも上げていくときの方が確率が高い気がします。上げていくときは食餌する気満々で浅瀬に入ってきて、下げていくときは多少満腹になっているかのような。下げのときはよりシビアに感じ、上げの時はより大胆に感じます。上げていくときは魚の移動が早く、テーリングする場所も入れ替わりが頻繁ですが、その分多くの魚が次々に入ってくるので、一つの魚にスティックせずに次の魚に気を配って行く方が良さそうです。下げの時はより慎重に移動して魚を脅かさず水面を観察する必要がある感じで、ナーバスウォーターも見つけにくく、フライへの反応もイマイチ高くない気がするのですが。。。気のせいでしょうか?
とにかく、今ここまでわかってきた感じで、今後も探求の楽しみは大いにありそうです。日本でできるフラットのフライフィッシングは世界に通用する?テクニカルな面があって、同時にワイルドフィッシュであるクロダイは釣りをするに十分なポピュレーションで存在しています。浜名湖は外海とも通じていますし魚は出入り自由。ダムのある川で放流された渓流魚よりも魅力的!?これからもチャレンジが続きそうです。