2022年のボートシーバスは9月から始まり12月までに毎月最低2回、合計9回を経験しました。9、10月はデイライトの下でサーフェスの釣りを、11月は早朝暗い時間帯と合わせて半分はシンキング、半分はサーフェスを、12月は暗い時間にインタミ&シンキングでやってみました。さらに春先、夜の出船でバチの季節を経験してみました。どれもそれぞれの楽しみがあって、使うライン、フライが変わってきます。
フライはバラエティに富んで使ってはいませんが、秋は2種類で泳ぐ層を変えて試行錯誤してみました。最後の方はガイドのアドバイスとは変えてやってみたり、やっぱりその通りだと戻してみたり、ボート上では若干忙しくロッドやラインを変えて試してみたのですが、正直まだまだ色々やってみたいことはあります。春はゾンカー一択に変わりました。2月に友人と出た時にゾンカーと他のフライでは差を感じました。わずかな経験なのではっきりした解ではないですが、その後3月以降はゾンカーでコンスタントな結果が出ていることを考えると、細身でゆらゆらした感じがカギになっている気もします。
秋は季節が進むごとに他のガイドボートに会うことが多くなり、10−11月は多い日だと6台(あるいはそのうちいくつかは複数回)も遭遇することがあり、この釣りの人気ぶりがうかがえるのですが、やっぱりスレていると感じないではいられませんでした。入った場所はすでに誰かが釣りをした後ではないかと疑いたくなります。あれだけのボートと行き交い、ついでに今年は魚の数が例年の1/10だと言われる中ではフィッシングプレッシャーはさらに関係していると思うのです。そういうことも含め、タイドや出船のタイミングは一考の余地ありと思っています。ベストタイミングでできない場合、誰かが釣りをした後を覚悟しつつ、それでも魚を引き出せるアプローチは如何なるものか、色々想像を膨らませてフライやレンジに工夫をしてみました。そしてやっぱりキャストとプレゼンテーションはしっかりできないと!そのほか海上に出れば釣りに関してはいくつか経験したので、せっかくなので自分に対しても、これからこの都会の稀有なフライフィッシングを楽しもうという人にも、ここで忘れないうちに書き記しておこうと思います。
<Fly Casting>
いつも思うのですが、ガイドに竿を握ってもらうとその激しく思い切りの良いキャ
停泊船ではキャスティングで距離が出せればフライフィッシングはより楽しくなると思いますが、運河内のコンクリートの壁打ちではタイヤやダンパー、ネットやハシゴなどの障害物があり、そういう時には無理をせずに短めのキャストでコントロール重視にして、とにかくフライが壁際に沿って泳ぐことを優先させる方が良い感じです。
夜になると常夜灯周りを狙うようになり、ストラクチャーに沿ってフライを泳がせることが減ってきます。アプローチは灯りが当たっている向こうの陰にフライを落とし、明るいところにフライが泳ぎ出てくるようにすることが第一条件になります。シーバスはベイトがその暗がりから明るいところに出てきた時に獲物を視覚ではっきり捉えることで襲い掛かるようです。(ただし、明かりが当たる水中に群がるベイトにボイルしている時は話は別で、こういう時に遭遇すれば明かるいところにフライを落としてリトリーブしてもフライにアクティブに反応してきました。)
<Retrieve>
竿の穂先は水面に向かってラインと真っ直ぐになるようにしてリトリーブします。これはアワセにも通じることなので確実にこうしておくようにします。竿が横になってラインとの角度が付いた状態は望ましくありません。竿から真っ直ぐに伸びるラインのリトリーブはワンハンドでもツーハンドでもいけますが、特に明るい時間のサーフェスではフライが動き続ける
暗くなってからインターミディエイトでのアプローチはワンハンドで今の所問題なく済んでいるように思っています。暗くなるとリトリーブは基本遅めである方が魚がフライを発見するには良いと想像しますが、フライは動き続けていることが重要です。止まると見切られて戻っていくことがほとんどだとか。ですのでワンハンドでもストロークの途中にポーズができないように気をつけています。じわーっとロングストロークが多いですが、様子次第で早めにリトリーブすることもあり、その時の雰
一方で日が昇った後のシンキングラインのリトリーブはフローティングやインターミディエイトとはかなり違う感じです。目標の深さに沈めた後はとにかく早引きです
そしてアドバイスを受けたことをもう一つ。リトリーブは船縁まで行い、最後はロッドを横にして引きながらフライの泳ぎが確かかどうか確認してから次のキャストに行く方がいいと。フライフックにマテリアルが絡みついていたり、フライにティペットが絡んで泳ぎがおかしくなっていたりしないか確認する。こう言った配慮があるとフライフィッシングが良い感じで続くということだと思います。
<Hooking>
アワセはとにかく合わせないこと。これに関しては当初戸惑いました。同行者もいつも思わず合わせてしまうと言っていましたが、特にこういう合わせになる人をトラウトフィッシャーマンと言うくらいで、ソルトウォーターの多くの場合は鱒釣りの合わせではない合わせが必要です。この理由の一つは海の魚たちは口が硬く、鱒のドライフライフィッシングの合わせではフックが完全に魚に乗らないらしいのです。実際に乗らないことは経験済みで。よほど強力な竿でしっかりしたラインシステムの元で力強く合わせられれば乗るのでしょうけれど。。。
ひとまずコツは食ってきても決して竿をあおらずにリトリーブを続
<FLY>
現状フライはほぼ3択です。イワイミノー、EPミノー、そしてゾンカーです。この3種類にサイズなど変化をつけたものを用意しているので、同じパターンでも違うアピールになるように色々試している最中です。
イワイミノーはリトリーブの最
製作の手間もそれほどかからずに、ヘッドになるフォームの角度や、フォーム材の切り方によって水中への潜り方や浮力を変えたり、あるいはボディ後半を細くしてフライがより柔らかくフッキングできるようにしたり、マイラーチューブにはEPファイバーを入れたりその量を調節したり、ひょっとしてフォームとEPファイバーのハイブリッドにしたり!?同じに見えて同じでないものが創造できてとても面白い。イワシが弱って泳いでいるのか、あるいはストラクチャー周りを逃げて泳いでいるのか、そんな感じで演出するのに色々なバージョンのイワイミノーを試している最中です。
EPミノーはインターミディエイトかシンキングラインの時に使
ゾンカーは2月以降、バチが絡む季節になり始める時に、ナイトフィッシングで使います。そんなにフラッシーではないこのフライが常夜燈周りや明暗地帯になぜそれほど効くのか。フックサイズ#2とはいえ水に入ってしまえば、頼りない細い、薄い感じにも思えるのですが、それが効いているのだと思います。5−7cmサイズで特に3月に良い釣りを経験させてもらいました。
これらのフライはフライキャスティングの邪魔になることがなく、自分が描く”らしいフライフィッシング”が楽しめるので愛用しています。海上船上でのフライキャスティングは風邪や波のうねりなどで良い条件はあまりなく、そのことを考えてもフライキャスティングを阻害するような、難しくするようなフライを使わないことは結構大切かもしれません。
<Leader&Tippet>
未だ研究中のところもありますが、シーバスではとにかく竿より長くしないようにすることと、20lbをティペットに使った方がさまざま安心できるということです。20lbというとアラスカのキングやカナダでメートル級のスティールヘッドにも使う太さで、正直最初は驚きました。しかしこれだけのティペットを使う理由は強さよりは太さの方で、口周りのザラザラがティペットにダメージを与えること、そして積極的にストラクチャーにぶつけてキャストしてゆくためにティペットが傷む可能性が高いからということです。シーバスのファイトは恐ろしいものではありません、正直10lbかそれ以下でもファイトは可能ですが、積極的に障害物にタイトにキャストして釣りを続けるために、ティペットの傷対策として太めのものを使うことが大切です。ガイドは30lbを進めますが、私はまだそこまでいけてません。どこかに引っかかった時にフライラインよりも強いティペットを結んでおくのが怖いためです。もちろんリーダーの途中を一部弱くしておけばいいのでしょうけれど、9フィート以下の短いリーダーでは細かくつなぎ合わせて作るのも面倒なのでやっていないのが現状です。リーダーとティペットはベストを尽くせばフロロを選ぶことになります。シーバスの釣りでは今の所完全な水面の釣りはなく、したがって水により早く馴染み、沈むフロロはナイロンより確実な選択になります。
<Fly Line>
シーバスの釣りは季節と共に、そしてベイトと共に変化するそのゲーム性がとても興味深いです。トラウトのマッチングザハッチと違うのですが変化に富んでいるのは間違いなく、フローティングラインの出番でほぼ済んでしまう渓流とは違い、その変化はフライとともにフライラインで応じることになります。基本となりそうなのは秋(9〜11月)のフローティング&タイプ4、冬(12月〜2月)のインターミディエイト&タイプ4、春(3月〜5月)のインターミディエイト&フローティングになるのではないかと思います。これらはあくまで基本の形で、ビッグベイトで狙うマニアなアプローチではありません。
まず最盛期の秋ですが、サーフェスの釣りが楽しくなります。もちろん夜間も楽しいのですが、この季節特有でデイライトの元でも魚は上ずっている、もしくは水面に注意が向くようになり、サーフェスフライに盛んに魚が反応してくれます。水面を割って出てくる格別の季節ですから、ここでフローティングラインの釣りを目一杯楽しむに越したことはありません。(インターミディエイトでも同様に釣れますが、フローティングラインで思いっきり出てくる季節なのであえてインターミディエイトを使わない感じです。)ただし、魚は気まぐれで、例えば早朝4時からスタートした場合、後半7、8時頃はだんだん魚が水面に出にくくなってくることがあります。そういうときはタイプ4のフルシンキングラインを使いカウント20くらいで結果が出やすくなることがありました。2本のロッドが用意できるのであればこの2つです。
12月から冬の様相になり、日中のサーフェスミノーに魚は反応しにくくなってくるようです。この頃から夜間の釣りがメインになって、インターミディエイトかタイプ4で結果が出やすくなります。インターミディエイトの方が扱い易く、キャストも楽しく、これで結果が出るのであればそれに越したことはないと思います。ただ面白いものでタイプ4の使用に慣れると、より幅の効いた釣りができるようになります。キャストの後すぐにリトリーブすればインタミほどとは言わないまでも比較的シャローを泳いでいると思いますし、カウントダウンすれば2、3mくらいを泳いできます。この使い分けが効くのがタイプ4の良いところです。デメリットは暗いラインを暗がりで投げることくらいでしょうか。着水したフライはリトリーブすれば確実に水面下に入りますし、とても応用が効くラインです。(沈めることを欲張ってタイプ7を当初使いましたがラインが細く、シュートした時にロッドに巻き付いたり、足元にあるラインも絡まりやすかったり、使用感に不満がありました。タイプ4くらいですとまだ通常のフライラインの扱い同様の使用感が得られるので、ここに落ち着いています。)
春、3月からはバチを意識した感じですが、ここ3年の経験でインターミディエイト以外の出番がないまま、良い釣りが続いています。もちろん沈めることも悪くないのでしょうけれど、まだ試したことがなく、試す必要もなく結果がコンスタントに出ている感じです。季節が進み、5月に一度夕方出船でまだ日が沈む前にフローティングライン+サーフェスミノーを勧められるままに使い、思いのほか結果が出たことがありました。ここはもう少しつめても良いかもしれません。(が、渓流も盛んになる頃でシーバスへの時間が減り、6−8月はお休みです。)
以上3種のフライラインを使い分けてシーバスのフライフィッシングはより面白くなってきています。使っているフライロッドは7番ですがラインは8番を合わせているので、よほど重たいフックや大型のフライ、あるいは水を吸ってしまうようなものでない限り、8番ラインはシーバスの各種フライを過不足なくデリバリしてくれます。これがもし6番、7番だとするとフライサイズに制限が出てきますし、風のなかでちょっと不安が増します。晩秋から冬の釣りは大型のフライ(私のいう大型は10cm程)が効果的であることも考えると8番ラインは汎用です。
使っているロッドが20−30年前のものでライン選びは昔のフライラインAFTMA企画のグレインを参照していますが、ここ10年ほどのファストアクションロッドはとても強く、それに対応した特殊なラインたちは8番と書いてあっても1、2番重かったりして注意が必要です。7番ラインのヘッドは190グレインほどがAFTMA企画ですが、現代のラインは7番でも260グレインくらいのものもあり、これは9、10番のAFTMA規格に匹敵しています。それは人によってそれはとんでもなく合わないものだったりして、1、2番手下げたものを買ってちょうど良いこともありそうです。ラインでフライキャスティングは劇的に変わります。注意して選ぶように気をつけたいところです。